先日、食事が上手く食べれない、水も上手く飲めなくなってしまったという犬さんが来院しました。
身体検査、神経学的検査、血液検査など実施させてもらい、除外診断から三叉神経麻痺を発症していることが分かりました。明確な原因は不明なため、特発性三叉神経麻痺と診断しました。
*医学用語に【特発性疾患(とくはつせいしっかん)】という呼び名があります。特別な原因が見当たらないのに発病することを意味します。
三叉神経(さんさしんけい)とは、12対の脳神経のひとつであり、第Ⅴ神経にあたります。
三叉神経は、眼神経、上顎神経、下顎神経に3つに分かれることから、三叉神経と呼ばれます。
三叉神経麻痺の症状としては、
・口が閉じない(下顎が下がっている)
・人が口の開閉をするのは容易にできる(抵抗性がない)
・よだれが多量に出る
・かむときに使う筋肉(咀嚼筋:そしゃくきん)がやせる
・感覚異常の影響から顔を掻いたり、こすったりする
などがあります。
また、顔面神経麻痺やホルネル症候群が併発することもあります。
特発性以外の原因としては、免疫異常、ジステンパーウイルス感染症、脳の炎症性疾患や腫瘍などが挙げられます。
治療は、原因疾患が分かっている場合にはその治療を行います。
特発性の場合、一般的に麻痺は一時的のため、自然治癒するまで食事や飲水の介助をします。飲み込むことはできるので、フードを柔らかくして口に入れてあげたりしてもらいます。
食事の様子に変化を感じるときなど、診察することをおすすめします。