犬と猫の強いかゆみを伴う皮膚疾患に寄生虫性皮膚炎があります。
皮膚に寄生する寄生虫にもさまざまな種類が存在しますが、よく目にするものではノミがいます。ノミもかゆみを伴いますが、そのノミよりも強いかゆみを伴うものに疥癬(かいせん)という寄生虫がいます。
疥癬は、ヒゼンダニという皮膚内部に寄生するダニを原因とする皮膚疾患です。
特徴としては、
・強いかゆみ
・耳の辺縁、肘、膝、腹部など被毛の少ない場所から症状が現れる
・フケ(落屑)伴う皮膚症状
・かゆみが強いため、動物自ら掻き傷をつけてしまう
・一般的なかゆみ止めがあまり効かない
・長引くと全身的なかゆみと症状を伴う
・飼い主にもかゆみを伴う皮膚症状が出る
などがあります。
皮膚検査でダニが検出された場合は、まずはダニを駆除することから治療を始めます。かゆみが強く、自傷が続くような場合にはかゆみ止めを使用します。
駆除剤は何種類かありますが、だいたい1週間から2週間ごとに使用し、2~3回の投与で治療できます。
ただし、皮膚検査で必ずしもダニを検出できるわけではありません。そのため、ダニの感染が疑わしく、駆除薬の投与が可能な場合には、診断的治療として駆除剤を使う場合もあります。その治療により、かゆみや皮膚症状が改善するのであれば、やはりダニの感染があったと判断できます。
アトピー性皮膚炎など慢性的なかゆみを伴う皮膚病を持っている患者さんでは、かゆいことが当たり前になっている場合も多いのですが、いつもの薬を使っているのにかゆみが治まらない時には、改めて皮膚検査などを行い、他のかゆみの原因が無いかを調べることが大切だと思います。
なかなか治らないかゆみにお困りの犬さんや猫さん、いつでもご相談ください。