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2021年5月

2021年5月の記事一覧です。

トリコモナス症


 

先日、繰り返す軟便、下痢、血便で困っている犬さんが来院しました。検便の結果、トリコモナス原虫という寄生虫によるものであることが分かりました。そこで今回は、トリコモナス症についてお話しします。

トリコモナス症は、脊椎動物全般に寄生する原虫の一腫であるトリコモナスが、犬や猫に寄生することにより引き起こされる病気です。トリコモナスが寄生する部位としては、大腸や結腸、盲腸です。

免疫力が正常な状態のワンちゃんの場合には、トリコモナスに寄生されていても症状があらわれることはほぼありませんが、幼若齢の犬や猫や何らかの原因で免疫力が低下した場合にはトリコモナス症を発症する可能性がありますので、注意が必要です。

トリコモナス.jpg 顕微鏡でのトリコモナス原虫画像(染色済み)

感染経路としては、トリコモナスに汚染された糞を口にしてしまうと経口感染になり、症状があらわれていない犬猫の場合にも糞がトリコモナスに汚染されていることがありますので、他の犬猫の糞を口にさせないようにしましょう。

また、不衛生な環境で飼育している場合には、トリコモナスに感染した犬猫と同じ環境にいる際に、免疫力が低い子犬や子猫にトリコモナスが感染していることもあります。

症状は、大腸性下痢、水のような下痢、血便や粘液便、食欲不振、元気がなくなる、肛門の腫れや赤み、直腸脱や脱水症状などの症状があらわれるようになりますので、注意が必要になります。

また、トリコモナス症を発症した際には、寄生虫や細菌と混合感染をしていることもあり、それらの症状もあらわれるようになります。

基本的には検便でのトリコモナス原虫の検出となります。ただ、検出率は決して高くないため、一度の検便で検出されなくても、疑わしければ繰り返し検便することが大切です。

また、遺伝子検査での検出も可能なため、原因不明の慢性的な消化器症状が続く場合などは、実施する場合もあります。

駆虫薬の投与を行います。ただ、特効薬といえるような駆虫薬は無いため、トリコモナスが駆除されるまで時間がかかる場合もあります。

また、全身状態に合わせた対症療法を行います。特に脱水が重度になる可能性があるため、点滴治療は必要になる場合が多く、その他整腸剤や抗生剤などを併用することもあります。

子犬や子猫など免疫力が未熟な場合には、治療が遅れると重度脱水や低血糖などを引き起こして、命を落とす場合もあります。

 

成犬、成猫であれば、治療により回復することが多いです。