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夏に増える皮膚病「ノミアレルギー性皮膚炎」


 

春から夏にかけて多くなる皮膚病の一つに「ノミアレルギー性皮膚炎」があります。

ノミは犬や猫の皮膚に寄生し吸血しますが、その時唾液に含まれるタンパク質に過剰なアレルギー反応を起こしてしまうことで皮膚炎を発症します。

発症した犬や猫では、強いかゆみを示し、皮膚炎の起きた皮膚では、赤みを伴う発疹やかゆみによる自傷、脱毛、二次感染による細菌性皮膚炎などを認めます。

特に症状が現れやすいのは、犬では腰や尾、肛門の周囲、大腿部、内股など、猫では背中の広い範囲、腰、首の周り、お腹などです。

ノミの寄生数と症状の程度には関連はなく、少数しか寄生していない場合でも、重度なかゆみと皮膚炎を起こす場合があります。

皮膚炎症状

寄生していたノミ

診断は皮膚症状の所見、ノミの寄生の確認および予防歴の状況、同居動物や家族の方の発症状況などから進めます。

治療は、ノミの駆除、かゆみの軽減、二次感染治療などです。ノミの駆除剤にもさまざまな種類がありますので、動物種や症状の程度、投与方法などから決めていきます。

また、生活環境におけるノミ駆除も必要になる場合があります。動物のノミ駆除を行っても、繰り返し寄生を認める場合には、市販されている駆除剤を自宅などの生活環境で使うことをお勧めします。

最も大事なことは、ノミの寄生予防を行うことです。ノミの駆除剤は現在寄生しているノミの駆除だけではなく予防としての効果も兼ね備えています。そのため、定期的な駆除剤の投与を行いましょう。ノミアレルギー性皮膚炎は、予防にて防げる皮膚病です。

また、近年では温暖化の影響や暖房器具の普及から寒い時期でもノミの寄生が確認されることが増えています。そのため、当院では犬も猫も1年間通して予防薬を使用することをお勧めしています。