お知らせ

  • HOME
  • > お知らせ
  • > アジソン病(副腎皮質機能低下症)について

アジソン病(副腎皮質機能低下症)について


以前も紹介したことのある病気のアジソン病の患者さんが来院されたので、改めてこの病気について紹介します。

 

アジソン病とは、正式名称は副腎皮質機能低下症と呼び、副腎と呼ばれる臓器で作られているホルモンの分泌が減ってしまう病気のことです。副腎ではコルチゾールやアルドステロンと呼ばれるホルモンが分泌されていますが、どちらも生きていくうえで非常に重要なホルモンです。

 

アジソン病になると以下のように様々な症状が出ていきます。

・食欲がなくなる
・痩せだした
・嘔吐・下痢が見られる
・おしっこの量、回数が増える
・水をたくさん飲む
・失神・けいれん
・突然、倒れる
・食欲が増える
・散歩を嫌がる
・眠っているかのような状態が続く(強い刺激を与えないと起きない状態が続く)
・疲れている
・低体温
・元気がなくなる
・黒色の便が出る
・脈が弱い
・脱水が見られる

 

上記の症状の中でも、失神やけいれん、突然倒れる(虚脱)などの急性症状が現れることを「副腎クリーゼ」と呼びます。急激なホルモン分泌低下に伴う状態です。命にも関わる非常に危険な状態のため、このような症状が見られた場合にはすぐに病院に連絡したほうが良いでしょう。

副腎クリーゼのような急性経過とは違い、徐々に症状が現れる慢性経過型のアジソン病もあります。その場合、上記の症状が出たり、回復したりを繰り返すため、飼い主様から見ても体調が良いのか悪いのか判断が難しいことがあります。ただ、ゆっくりと病気は進行し、やがて副腎クリーゼのような強い症状を現すようになります。そのため、いつもと違う様子がある場合には、念のため病院を受診されることをお勧めします。アジソン病と似た症状を示す病気は多くありますので、当院では問診を含め丁寧に診察を行い、患者様が苦しんでいる原因を追究していきます。

 

アジソン病の診断には、一般的な身体検査や血液検査、画像検査に加え、ACTH刺激試験前後の血中コルチゾール濃度の測定が必要不可欠です。血中コルチゾール濃度測定は特殊な検査のため、以前は外注検査を行っていましたが、どうしても時間がかかるのがデメリットでした。しかしながら、現在は当院内でACTH刺激試験およびコルチゾールの測定が可能となり、ほぼ当日中にアジソン病の診断が可能となりました。

 

アジソン病は、発症すると命にも関わる怖い病気ですが、治療が間に合えば、それまでの元気なころと同じような生活が送れるようになります。気になる症状がある場合には、当院にご相談ください。

 

また、同じ副腎皮質ホルモンがかかわる病気にクッシング症候群という病気あります。多飲多尿やパンティング(浅速呼吸)、ぼってりとしお腹、コントロールが難しい糖尿病などの症状を伴います。犬ではアジソン病よりも発症が多い病気です。こちらの診断にもやはりコルチゾール濃度測定が必要となります。クッシング症候群についても気になる方は、当院へご相談ください。

獣医師 伊藤